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愛知大会現地便り⑧Letters from Staff

愛・知でヒューマンな英語教育を学び愛ましょう!

山本 孝次(やまもと・こうじ 愛知県刈谷北高校)

AI に仕事を奪われる?

 英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は論文「雇用の未来」(2013)の中で、コンピュータ技術の活用により、「今後10~20年程度で、米国の総雇用者の約47%の仕事が自動化されるリスクが高い」と予測している。2013年週刊現代がまとめた2030年「なくなる仕事」によれば、教員もその一つに含まれている。理由は、「小中高で年間300~400校が廃校になるほどの少子化社会では、知識の伝達しかできない教員は生き残れない」からだと言う。
 さて、皆さんはこれらの予測を聞いてどう思いましたか。教員はAIに取って代わられる、と思いましたか。それとも、教員の仕事をAIができるはずがない、と思いましたか。もちろん、教員の仕事には人間相手の様々な仕事があることを考えれば、教員がAIに取って代わられる可能性は低いでしょう。しかし、授業だけを考えるとどうでしょうか。もし、大学入試のためだけの知識獲得を偏重する授業を展開しているとすれば、AI専門家たちの予測どおり人間の教員という職業はなくなるのかもしれません。

愛知大会で単なる知識伝達に留まらない英語授業について語り合いましょう。

HOTSで行こう!

 これは、つまり、私たちの授業が、ブルームの目標分類学で言われるLower Order Thinking Skills (LOTS:下位思考スキル)の「記憶」、「理解」、「応用」を扱うに留まらず、Higher Order Thinking Skills (HOTS:上位思考スキル)の「分析」、「評価」、「創造」を扱うようになっていなければならない、ということではないでしょうか。AIが得意とするのは、過去の膨大なデータから関連性を見出 し、傾向をつかんで予測をすることです。それに対して、人間が得意とするところは「創造」です。 未だ答えの出ていない課題や現存する地球規模の課題に対して、コンピュータ技術を活用して集められたビッグデータやそのデータが指し示す傾向を、人間が分析し、多角的に評価し、解決法を見出していくのです。

HOTSを扱い、AI時代の未来を担う人間を育てる英語教育について語り合いませんか。

人間性の涵養を目指そう

 2022年から適用される高等学校の新学習指導要領では、育成を目指す資質・能力の三つの柱として、(1)「知識及び技能」、(2)「思考力・判断力・表現力等」、(3)「学びに向かう力・人間性等」が掲げられています。しかし、これら三つのうち、(1)と(2)については、近年よく話題となっていますが、 (3)「学びに向かう力・人間性」の涵養については手が回っていないというのが現状ではないでしょうか。(それこそが肝要なのに!)

英語教育の中で「人間性の涵養」って、何をすればよいのだろう?語り合ってみませんか。

―愛・地球博の地、愛知県でお待ちしております。

『新英語教育』8月号より
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